五月ノ餅ノ食ベ比ベ(後編)
こんばんは。
大型連休が明け、浮世は夏を目指して活気に溢れておりますが
毎日 生きているだけで心折れっぱなしの itaki です。パキッ…
こんな時は甘いものに逃げるしかないのデス ☆
前回↑は 柏餅を食べ比べしました。
日糧の柏餅のお隣にいらっしゃった謎のお餅殿。
そう それはまさしく、北のソウルフード べこ餅!
こどもの日でなくても、年中ちらほら お見かけする お茶のオトモ。
ときたま食べたくなる。
itaki の思っている べこ餅は、イラストような 木の葉の形で
茶色(黒糖)or よもぎ色 & 白 のツートン。
でも、調べてみるとキリが無いほど 奥深く謎だらけなお菓子だったのです!
----------------------------------------------------------------------------------------------------
五月ノ餅 五ツノ謎
謎その1 葉っぱのカタチ
道内のべこ餅は木型か手で成形した、葉の形をしたものが多い。
上のイラストをもう一度 見てほしい。
木型で作ると茶色のように葉脈が浮き出るが
手で作ったものは よもぎ色のように葉脈がヘラで彫られている。
この角の無いソフトな丸み、ずっと見つめていたい素朴で愛らしいフォルム ♡
しかし、こんなにも魅力的な容姿に辿り着いた明確な理由は分かっていない。
ええいっ こうなったら勝手に仮説を立ててしまおう! ※これは itaki の想像です。
1 旧暦の端午の節句といえば、草木が生い茂る6月頃なので
その季節の風景からイメージされた。
2 こどもの日に全国的に食べられている粽・柏餅などの葉に包む和菓子とは
差をつけつつ、葉っぱ繋がりで対抗したオリジナルデザイン。
3 べこ餅は下に葉を敷いているものが多いので、作っている途中に
形も葉っぱにしてしまったら面白いのでは と ひらめいた。
4 木型を使ったお菓子の型を見て、葉っぱの型で餅菓子を作ったら偶然 売れた。
5 こどもの手形を抽象的に表現したら、だんだん葉の形になった。
というか、こどもってお餅 似合うよな。
=ぷち知識=
4のように、落雁に使われているような木型で作られている餅菓子は
べこ餅以外にも存在した。
愛知県の「おこしもの」、新潟県 佐渡市の「おこし型*1 」などで
どちらも ひなまつり(桃の節句)に食べられるカラフルなお菓子。
道内の一部地域では、おこし型の別名「かたこもち」の名で
べこ餅を販売しているお店もあるので影響を受けたことは間違いないだろう。
ちなみに北海道文教大学さんの研究論文でも葉の形の仮説が述べられている。
〔前略〕葉でくるんだ餅の代用として、北海道内に広く伝搬したのではないだろうか。端午の節句に限って販売したり食したりすること、多くの木型の中から木の葉の形だけが北海道全域で使われるようになったこと、餅の裏側に笹の葉を貼るところが多いことなどが、この説を裏付ける。
〔前略〕北海道には明治初期から多くの移住者があった。〔中略〕粽や笹餅、笹団子も当然伝わってきたと思われる。だが、北海道には笹が豊富にあるにもかかわらず、それが定着しなかったのは、 厳しい自然や過酷な労働の日々で、守り伝える余裕がなかったのかもしれない。また、異なる出身地の人たちが一つの集落を作り上げていくなかで、食文化が混ざり合い〔中略〕簡素化した新しい菓子として木の葉型のべこもちが誕生したのではないだろうか。〔後略〕
ちょ、待てよ! 私の仮説が稚拙だと思われちゃうじゃんか!
最初に発案したのはどんな人物なのだろう。尊敬する。
謎その2 なぜ「べこ」餅
これについては諸説ありすぎるので、あえて言及しません。ごめんなさい。
気になる方は調べてみてください。文教さんの論文にも大変詳しく書かれていましたよ。
謎その3 バリエーション
北海道のお菓子屋さんにて
カマボコ形は、くじら餅*2 とも呼ばれている。
多様 過ぎて全ては紹介しきれなかった。やっぱ 北海道はでっかいどう。
〔参考記事〕「べこもち」北のお菓子たち:北海道人
謎その4 基準
サイズは5cm 前後で食べ応えがあるので、軽食にも最適。
味は「すあま」や「ういろう」に似ているかも。
すあま よりも ねっとりしていて、表面に打ち粉はされていない。
ういろう よりは もっちりと柔らかい。
実はどれも主な材料は米粉・砂糖・湯水。
しかし 作り方だけで食感は大違い。
大まかにはこんな感じ。
ういろう : 全ての材料を練り合わせて型に注ぎ蒸す
すあま : 米粉と湯を練る → 蒸す → 熱いうちに砂糖を加えてつく → 蒸す
べこ餅 : 砂糖と水を煮詰める → 米粉と合わせる → 蒸す → 水にさらして絞る
→ 水と米粉を練った生地を加えて練る → 蒸す
べこ餅ってこんなに手間がかかるのね! こねるほど もっちりするのかしら。
謎その5 おみやげ
この前 ねこちゃん(母)も 旅のついでに買ってきてくれたのだけれど
…お? コレ、ベコモチ?
石狩市浜益区 ふじみや製菓さん*3 にて購入。達筆すぎてパッと見、べし餅かと思ったよ。
前編でも記述した「 石狩の樹 柏 」も しっかりとアピール。
白いボディに ぽへっと焼き目。初々しいお姿に一目惚れ。
お煎茶とともにいただきます。
ほわ~んと香ってくるのは、すんっとした柏葉とまろみのある味噌。癒されるぅ。
石狩市産のお米のモチモチに、餡が練りこまれているかのようなもってり感を嗜む。
黒糖味・よもぎ味も あるみたい↓
また機会があればいただいてみますね ♪
----------------------------------------------------------------------------------------------------
うむむ、知れば知るほど謎が増えてきましたよ…!
どこか懐かしく、まるで母ちゃんのような温もりのあるお菓子です。
冷凍すれば半年ほどの保存も可能なので、一人暮らしにもオススメ。
みなさまも おやつにホッと一息つきませんか?
*1:「しんこ」「かたこもち」など様々な呼び方があり、中には餡が入っている。
https://www.city.sado.niigata.jp/support_sado/bn01/pdf/no06/08.pdf
*2:くじら餅は山形県などにもあり、様々な由来・カタチがある。
*3:ジャンボなどら焼きが名物らしく
実演販売で焼きたてのホカホカを食べられる日もあるのだとか。