浮世みならひ

まっさら新米の心。恩師は冷ごはん。

【妄想登山】後編

 

ひきこもりでなかなか登山にも行けない

ならば妄想してみよう

 

ukiyo-beginner.hateblo.jp

 

 

急な坂道を越えると 中腹地点に到着した

意外とあっという間

揚げ物の自販機とちいさなソフトクリーム屋さんがある

そろそろ小腹もへってきたので、何か食べよう

老夫婦はどうやらベンチでおむすびをいただくらしいが、僕はどうしよう

揚げ物の自販機というのはそそられるが、コロッケ700円は 明らかに高い

ソフトクリームは種類が豊富で迷う

けれども山頂で早起きして作ったサンドイッチを食べたいから

ソフトクリームにしておこう

うーんと・・・かぼちゃ と ブルーベリーで悩む

かぼちゃにしよう

「はい 300円

はいはいはいはい

どうぞ はーい」

「はい」多いな

ソフトクリームを受け取って

空いているベンチに座るとベンチの隙間から花が飛び出して咲いている

こんなことってあるのか

しかし隣にお花が居ることで、寂しくなくていいなと思った

 

腹は満ちた

ここから あと少しで山頂のようだ

老夫婦はしばらくのんびりする様子なので

僕は一人で続きを目指した

 

陰った小道を歩む

木々に囲まれた静けさが耳に優しく ゆるやかな風が頬を撫でてゆく

日常の喧騒とはまるで違って 少し神秘的な空間で、ふと足を止め深呼吸をした

もうひといき

 

そして 山頂は突如現れた

目の前が眩しくなり 明るく開けたところに出た

柵があるほうまで進む

自分達の住んでいるであろう街が

よく観える

あれっこっちは家とは逆かー?

こっちかな?

あまりにも普段と違う風景の出現に戸惑いながらも

快晴が清々しく、青空と街のパノラマがまるでテレビに出てくるような景色

運に恵まれた

 

中年男性は仕切りにシャッターを切っている

体形の引き締まった女性は・・・えっ?

なんとヨガマットを敷いてポーズをしている

それはそれで とても良い気分に違いないが、すごい勇気だ

僕も、思い出したようにサンドイッチにかぶりつき 健闘した脚を解放してあげた

うん ふもい

やっぱり山頂で食べるのはカクベツだ

ただ昼も過ぎ 陽ざしがキビしくなりつつある

老夫婦も遅れて到着したようだし、僕はそろそろ下山しよう

結構疲れたので復路はロープウェイに乗車

おぉ チラホラと紅葉が綺麗だ

やはりゆっくり登るのと違った魅力がロープウェイにはある

おつかれさま 自分

 

そこからは早送りのよう・・

なぜならバスで爆睡してしまったから

全てが夢だったかのように終点に近づいていくバスで

夜の車窓を眺めていたら

足元にもみじが一枚

 

夢ではなかったらしい

 

おわり

 

 

またね

 

itaki

 

【妄想登山】前編

 

ひきこもりでなかなか登山にも行けない

ならば妄想してみよう

 

 

登山用のウェアなどは持っていないので、少々厚手の靴下に

履き古して緩くなったスキニーパンツに、あたたかめのパーカーを着ることにしよう

一番歩きやすいスニーカーを、土で汚れることも分かっていながら

ちょこっと綺麗にしつつ 久しぶりの遠出にワクワクする前夜

おやすみなさい

 

早朝からバスに乗って山の麓へ向かう

アルミの袋に入ったカットサイズのカステラを食べて

お茶を飲もうとしたら ポットの中のお茶はまだ熱く、舌をやけど

少しヒリヒリするなぁと思いながらいつの間にかウトウトして

気づけば1つ前のバス停まで来ていた

危ない危ない

長く座っていたから少し体が硬くなっていて、よろよろしながらバスを降りた

あぁ バスが去ってしまった

これから山に登るのかぁ

山と言っても都市部からそんなに遠くもない小山程度のものだが

一応軽い準備体操をする

うん 登れる気になってきた

 

バスからは何人か降りた

紅葉を見に来たのであろう老夫婦や大きなリュックを背負った中年男性や

体形の引き締まった女性などが居る

一応ネットで下調べしてきたけれど、不安なので

老夫婦のあとをのろのろ付いていってみることにしよう

 

久しぶりに踏む土の感触

ここの地面は固すぎず柔らかすぎず

斜面もゆるやかなので非常に初心者にも登りやすい

さっきまで日陰だったけれど

木漏れ日が差し込んで空気が澄んだ感じがなんとも心地いい

今日は風も強くなくチリが飛んで来ないので良い日和だ

 

どこからか鳥のさえずりが聞こえて辺りを見渡す

どこからだろう

「あっ」とおじいさんが指をさした

つられておばあさんと僕も首を傾けた

確かに木の枝が揺れ 何か居る

とっさに でも静かに首にかけたカメラを向けズームして鳥の居場所を探す

居た

何やら枝についた実を食している

くわえた瞬間を撮ろうと見計らっていたら

飛んで行ってしまった

まぁ 見れただけでもよかった

そうしているうちに老夫婦は次のカーブを曲がろうとしており、ペースを上げる

 

この先は少し傾斜がキツい

足を曲げるとスキニーパンツが食い込んで

やはりちゃんとしたウェアを買わなかったことを若干後悔

しかし運動不足でブランクがあるとはいえ、登山は得意なほうなのだ

ポキッポキッ

あれ 膝が鳴る おっかしいなぁ

急な坂道を越えると 中腹地点に到着した

 

つづく

 

 

またね

 

itaki

 

ふわふわ

 

現在 11/9 18:42 だと確かめるが、どうも信用ならない

頭では現況のシチュエーション的な面を理解しているつもりでも

自分にとって今がいつで一体ぜんたいどうなっているのかがよくわからない・・

とりあえず 薬を飲んだ

 

こうやって文字を打ってはいるが、打っている指が自分のものという感覚がない

まばたきをしたとき、まぶたが自然に動いたのではなくて

目の前にある映像がチカチカ暗転しているように感じられる

話しかけられたが、その内容を聞いてかみ砕いている自分自身という存在を

何故だか誰なのかわからなくなってしまうため

相手に返事をしている際にも

自分から出ている声が違う人間から発せられているような不思議な感じだ

目の前の現実が現実として入って来ず

脳の一部では現実だと認識しているのだけれど

通常時のように反応する迄に謎のタイムラグがあって

そのラグ間でふわふわしている

何かが、ズレている

鏡を見たら、自分と同じ動きをしている奴は 映り込んだ自分なんだと云う事を

どうしても自覚できないでいるので気持ち悪かった

1時間ほど前には外出先で電話をとったが

周囲がうるさく何度聞き返しても聞き取れず

大筋の内容を予測し返事をして切ってしまった

それ以降更に頭の中が混乱してしまい

外を歩いているあいだなるべく同行者へ(無意味に)声をかけ続け

なんとか無事家に着いた が、何だかよその家みたいだ

怖い

 

 

それから薬を飲んで文字を打って・・・と至った訳だが

早く薬は効かないだろうか

何か食べたらいいだろうか

外気2度で冷え切ったお弁当

たまにはレジスタントスターチ風で

いただいてみることにしよう

 

19:35 完食

食べている間 徐々に薬の効果も

だんだん 口に食べ物を入れ噛んでいるのは自分なんだとわかる

オツだという味覚も ラグなく、ごく自然に味わうことができた

 

もう普通に文字を打てている

戻った

よかった

 

症状が出ている さ中に書き留めておけば今後何かの役に立つかもしれない

そう思い立ち取り急ぎスマホに・・

最近度々この症状が突発的に出ている

幼少期の頃にもあった気はするのだが

重度ではなかったのと自分で状況が理解できずに流していた

たいてい予想外のことが急に起きたときになってしまう

単におおごとに落ち込んで動転しているだけなら

まだ気持ちの切り替えようがあるかもしれないが

この現実錯綜パニックは意図せず出現し自力では抗えないのはすごく困る

 

今夜のところは、頻度が少ないことにまず安堵することにして

(頓服など装備には気を払い)

帰宅したねこちゃん(母)のジェット音と屁の香りで

いつもの自分に帰って眠ろう

 

またね

 

itaki