浮世みならひ

まっさら新米の心。恩師は冷ごはん。

【妄想登山】前編

 

ひきこもりでなかなか登山にも行けない

ならば妄想してみよう

 

 

登山用のウェアなどは持っていないので、少々厚手の靴下に

履き古して緩くなったスキニーパンツに、あたたかめのパーカーを着ることにしよう

一番歩きやすいスニーカーを、土で汚れることも分かっていながら

ちょこっと綺麗にしつつ 久しぶりの遠出にワクワクする前夜

おやすみなさい

 

早朝からバスに乗って山の麓へ向かう

アルミの袋に入ったカットサイズのカステラを食べて

お茶を飲もうとしたら ポットの中のお茶はまだ熱く、舌をやけど

少しヒリヒリするなぁと思いながらいつの間にかウトウトして

気づけば1つ前のバス停まで来ていた

危ない危ない

長く座っていたから少し体が硬くなっていて、よろよろしながらバスを降りた

あぁ バスが去ってしまった

これから山に登るのかぁ

山と言っても都市部からそんなに遠くもない小山程度のものだが

一応軽い準備体操をする

うん 登れる気になってきた

 

バスからは何人か降りた

紅葉を見に来たのであろう老夫婦や大きなリュックを背負った中年男性や

体形の引き締まった女性などが居る

一応ネットで下調べしてきたけれど、不安なので

老夫婦のあとをのろのろ付いていってみることにしよう

 

久しぶりに踏む土の感触

ここの地面は固すぎず柔らかすぎず

斜面もゆるやかなので非常に初心者にも登りやすい

さっきまで日陰だったけれど

木漏れ日が差し込んで空気が澄んだ感じがなんとも心地いい

今日は風も強くなくチリが飛んで来ないので良い日和だ

 

どこからか鳥のさえずりが聞こえて辺りを見渡す

どこからだろう

「あっ」とおじいさんが指をさした

つられておばあさんと僕も首を傾けた

確かに木の枝が揺れ 何か居る

とっさに でも静かに首にかけたカメラを向けズームして鳥の居場所を探す

居た

何やら枝についた実を食している

くわえた瞬間を撮ろうと見計らっていたら

飛んで行ってしまった

まぁ 見れただけでもよかった

そうしているうちに老夫婦は次のカーブを曲がろうとしており、ペースを上げる

 

この先は少し傾斜がキツい

足を曲げるとスキニーパンツが食い込んで

やはりちゃんとしたウェアを買わなかったことを若干後悔

しかし運動不足でブランクがあるとはいえ、登山は得意なほうなのだ

ポキッポキッ

あれ 膝が鳴る おっかしいなぁ

急な坂道を越えると 中腹地点に到着した

 

つづく

 

 

またね

 

itaki